【初心者向け】いつものお店でエシカルな選択肢を探すガイド
エシカルファッションに関心はあるものの、「どこから始めたら良いか分からない」「特別なブランドを探すのは難しそう」と感じている方もいらっしゃるかもしれません。多くの場合、エシカルファッションの入門として、専門のブランドや古着店を思い浮かべることが多いでしょう。しかし、実は私たちが普段利用しているショッピングモールや百貨店、大型チェーン店の中にも、エシカルな視点を取り入れた選択肢が存在します。
このガイドでは、特別な場所に行かなくても、いつものお店で賢くエシカルなアイテムを見つけるためのヒントをご紹介します。身近な場所から一歩踏み出したいと考えている初心者の方に、役立つ情報を提供できれば幸いです。
なぜ「いつものお店」でもエシカルな選択肢を探すべきなのか
エシカルファッションは、環境や社会に配慮した方法で作られた衣服を選ぶことですが、すべての服が完全に「エシカル」であると定義することは難しい側面もあります。多くのブランド、特に規模の大きな企業も、近年サステナビリティや倫理的な生産に意識を向け始めています。これは、消費者の関心が高まっていることや、企業自身の社会的な責任(CSR)を果たす必要性から生まれています。
いつものお店でこうした取り組みを探すことは、以下のようなメリットがあります。
- 始めやすい: 新しいお店を探す手間がなく、普段の買い物習慣の中で取り組めます。
- 選択肢の幅: 様々な価格帯やスタイルの商品の中から選べます。
- 現実的な選択: すべてを完璧にエシカルにすることは難しくても、日常的な場所で意識することで、持続可能な消費行動を無理なく続けやすくなります。
- 企業へのメッセージ: 消費者としてエシカルな選択をすることは、企業に対してさらなる改善を促すポジティブなメッセージとなります。
いつものお店でエシカルな選択肢を見つけるヒント
普段利用するお店で、どのような点に注目すればエシカルな選択肢を見つけられるのでしょうか。いくつかの具体的なヒントをご紹介します。
1. 商品のタグや表示を確認する
多くの衣料品には、素材、生産国、取り扱い方法などが記載されたタグが付いています。近年では、環境や社会への配慮を示す表示が増えています。
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素材に関する表示:
- リサイクル素材(リサイクルポリエステル、リサイクルコットンなど)
- オーガニック素材(オーガニックコットン、オーガニックリネンなど)
- 再生繊維(リヨセル、モダールなど、適切に管理された森林由来のもの)
- 環境負荷の低い染色方法や加工方法に関する記載
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認証マーク:
- GOTS (Global Organic Textile Standard):オーガニック繊維の世界的な基準。
- OEKO-TEX®:有害物質を使用していない繊維製品の認証。
- Bluesign®:環境負荷を低減する繊維生産の基準。
- フェアトレード認証:開発途上国の生産者や労働者の生活改善と自立を支援する基準。 これらの認証マークがついている製品は、特定の基準を満たしていることを示しています。ただし、すべてのエシカルな製品に認証マークが付いているわけではない点に注意が必要です。
2. ブランドの公式サイトや情報を調べる
関心を持った商品やブランドがあれば、スマートフォンなどでその場でブランドの公式サイトを調べてみることを推奨します。多くの企業が、サステナビリティやCSRに関する情報をウェブサイトで公開しています。
- 企業理念や取り組み: 環境問題、労働問題、動物福祉などに対する企業の考え方や具体的な目標。
- サプライチェーンの透明性: どこで、誰が、どのような環境で作っているかを開示しているか。
- 特定のコレクションやライン: サステナブル素材を使用したラインや、環境負荷を低減した製造方法による製品群を展開している場合があります。
- 回収・リサイクルプログラム: 着なくなった服の回収を行っているか。
- 社会貢献活動: 生産地のコミュニティ支援や、環境保護活動への参加など。
これらの情報は、ブランドの姿勢を理解する上で重要な手がかりとなります。
3. 店舗の表示やPOPに注目する
店舗によっては、特定のコレクションや、サステナビリティに関する取り組みを紹介するPOPやポスターを掲示していることがあります。「サステナブル」「環境に配慮した素材」「〇〇コットン使用」といった表示があれば、それがエシカルな選択肢の一つである可能性があります。
4. 商品の「長く着られるか」を考える
エシカルファッションの重要な考え方の一つに「服を大切に長く着る」ことがあります。いつものお店で服を選ぶ際にも、以下の点を意識してみましょう。
- 品質: 生地の厚み、縫製の丁寧さ、ボタンやファスナーの付け方などを確認し、丈夫で長持ちしそうな製品を選びます。
- デザイン: 一時的な流行に左右されず、数シーズン着られるようなベーシックなデザインや、自分のスタイルに合った、飽きのこないデザインを選びます。
- 手入れのしやすさ: 洗濯表示を確認し、自宅で手入れしやすいかどうかも考慮すると、服を良い状態に保ちやすくなります。
5. 本当に必要か、じっくり考える
衝動買いを避け、「この服は本当に自分にとって必要か」「すでに持っている服と合わせて着られるか」「何回くらい着るだろうか」といったことを自問自答することも、身近な場所でエシカルな買い物を実践する上で非常に重要です。購入する量を減らすこと自体が、最も効果的なエシカルなアクションの一つです。
身近な場所での選択肢の限界と、さらなるステップ
いつものお店でエシカルな選択肢を探すことは、エシカルファッションへの第一歩として非常に有効です。多くの大手ブランドが改善に向けて努力していることは事実であり、そうした製品を選ぶことはポジティブな影響を与えます。
しかし、大手ブランドの製品がすべて完璧にエシカルであるとは限りません。サプライチェーン全体での透明性や、労働者の適正な賃金・労働環境など、まだまだ課題が残されていることも少なくありません。
もし、身近なお店での選択肢では物足りない、もっと深くエシカルなファッションに取り組みたいと感じるようになったら、専門のエシカルブランドを調べてみたり、古着屋やセカンドハンドストアを利用したり、服のレンタルやシェアリングサービスを試してみたりすることも検討してみてください。
まとめ
エシカルファッションは、特別な場所や高価なものだけに限られるものではありません。普段利用しているお店でも、商品のタグを確認したり、ブランドの情報を調べたり、長く着られるか吟味したりすることで、環境や社会に配慮した選択をすることが可能です。
完璧を目指す必要はありません。まずは、今日からいつものお店で少しだけ意識を変えてみることから始めてみましょう。その小さな一歩が、より良い未来に繋がる持続可能なファッションへと繋がっていくはずです。